白輝都譚、帰り道の小話です。
ガド君、トアーラの怪我を気にしちゃってると伺ったので・・・(汗
ガド君の私的イメージ追加。やんちゃだけど、真っ直ぐ伸びる若木のようなイメージ。
***白輝都譚 -after- ***
(・・・・・・あ)
突然、とても大切なことに思い至ってトアーラは足を止めた。
自分の前で賑やかに言い合う男たちに、躊躇いがちに声を掛ける。
「あの・・・・・・アルフ先生、ガドゥ君」
「あぁ?」
「ん?」
「助けに来てくださって、ありがとうございました」
立ち止まって頭を下げる。
きちんと言うのが遅くなってすみませんと付け足すと、アルファルドは気にすんなと軽快に笑う。
しかし反対に、なぜかガドゥの表情は強張ってしまった。
「・・・・・・ガドゥ君?」
自分の手に注がれるどこか険しい視線に、戸惑いながら声を掛ける。
「ガドゥ?どうした」
「・・・・・・ああ、うん」
隣のアルファルドが顔を覗き込むと、ガドゥはふいとそっぽを向く。
そしてもう一度トアーラを見て何か言い出そうと口を開くが、どこか躊躇う素振りを見せる。
「俺は・・・・・・助けたわけじゃないだろ」
「―――え?」
「・・・・・・それよかさ、勝手な行動で、お前に怪我させちまったみたいなもんだし・・・・・・ごめん」
ようやく意を決したように告げられた言葉に、トアーラとアルファルドは驚いて目を見開いた。
トアーラは慌てて首を左右に振る―――まさか、謝られるとは思わなかった。
まだ互いに知り合って短い付き合いだが、今まで見たことのないガドゥの様子にひどく焦った。
違う――違うのに!
実際の事の発端はトアーラ自身が原因だった。ガドゥを巻き込んでしまったのは、自分なのに!
とっさに浮かんだ思いが言葉にならない。少年のどこか思いつめたような面持ちに胸が痛んだ。
心底焦った勢いで彼に駆け寄り、その腕を捕らえる。
「ガドゥ君!」
「へっ?!」
怪我をしているはずの手で思いのほか強く腕を掴まれ、ガドゥは驚いて身を引こうとする。
それをさせじと、トアーラはさらに詰め寄った。
「ち、違う!ガドゥ君、悪くない・・・!あの、来てくれて、嬉しかった!すごく!だから、あの、ありがと・・・ありがとう・・・!!」
「・・・・・・え」
「おーいトアーラ、ちょっと落ち着けー?」
襟にまで掴みかからん勢いのトアーラに、見かねたアルファルドが仲裁に入った。
必死な形相でガドゥに詰め寄る彼女の頭頂部に軽い手刀(片手チョップ!)を見舞う。
「!?」
―――食らったトアーラは、思わぬ衝撃に驚いて両手で頭を押さえた。
我に返ってアルファルドを見上げると、怪我した手を無下に扱うなと怒られる。
痛みは軽いが、こちらも初めての経験で大いに戸惑う。
驚いて口をパクパクさせる彼女に、しばらくぽかんとしていたガドゥは小さく噴出した。
「ガ、ガドゥ君・・・?」
「おっ、お前・・・!今、ものすごい顔だった・・・!」
ガドゥにしても、今までにない形相を連発させるトアーラに驚いたようだった。
いつもフードの下に隠れていた顔が、思いのほか豊かだったことを知る。
ひぃひぃ言いながら笑う少年に、笑われたトアーラはさらに顔を赤くする。
しかし、彼にいつもの笑顔が戻ったことが嬉しくて自然と表情が緩んだ。
気付けば誰の顔にも笑みが零れ落ちている。
「ガドゥ君、ほんとに、来てくれてありがとう」
「―――うん・・・・・・」
今度は落ち着いて礼を言うと、笑いを収めた彼はやや躊躇いがちに小さく頷く。
そしてトアーラは 事の成り行きを見守っていたアルファルドに顔を向けた。
「アルフ先生」
「んあ?」
突然自分に矛先を向けられ、きょとんと目を丸くする彼にトアーラはもう一度深く頭を下げる。
「これからも、ご指導、よろしくお願いします」
「――俺も!ちゃんと修行見てくれよ師匠!」
それを目にしたガドゥも片腕を大きく上げて挙手し、負けてたまるかと対抗心を燃やす。
―――もっと、強くなりたい。
自分の大切なものを守るために。そして、誰も傷付けずに済むように。
それはきっと、共通する気持ち。
アルファルドはそんな二人の様子を眺めて唇の端を持ち上げる。
「おお、まかせとけ」
そして、弟子達の頭をやや乱暴に撫でたのだった。
end.
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師匠ー!弟子達を頼みますよー!(笑
シマムラさんへ!!(私信)
早速素敵漫画ありがとうございました!!私的イメージ起用ばんざい! やっぱりかわいいなぁガド君・・・vv
あ、冒頭上半身裸のガド君にドッキリ!したのは私です・・・(笑
そして
ががが、ガド君の責任じゃないよ・・・!トアーラの怪我はガド君のせいじゃないです・・・!
という思いを込めてフォロー小話が生まれました・・・!
もともとトアーラは一人でゴロツキと相対するつもりだったので、ガド君が現れてくれて、びっくりしたけどとても心強かったのです。
しかも短刀鷲掴むうちの子がダメなんですよ。あのまんまじっとしてたら怪我する前にアルフさん来てくれたかもしれないし、ガド君が相手の隙を突いて助けてくれたかもしれないのに。頭に血が上ると、口下手な分、先に手が出ちゃうみたいです。
なんだか今更彼女の性格が定まってきました・・・(笑
ガド君、気にさせちゃってごめんね・・・こんな子だけど、仲良くしてやってください・・・!
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