揺処【caravan】【Falatoria Story】企画創作ネタ板 [PR]× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 白輝都譚 その4第4夜 『白輝の都』 塩の町にて
さっそく修正(汗 長かったのでもう1ページ分割しました。 *** 4 ***
「ただ、あのルフが誰を助けに呼ぶかって基準はわかんねぇけど・・・・・・まーぁ俺を呼んだのは正解だったな!」 「そう!そうだよ師匠!あの足蹴りの見事さに俺は感動したぜ!格好良かったなぁ、惚れ直した!なぁトアーラ!」 一気に機嫌を良くしたアルファルドに、ガドゥは畳み掛けるように言う。突然矛先を振られたトアーラは慌てた。ガドゥがこのまま説教を済し崩しにする気だと分かったが、師匠の強さに見惚れたのは確かなので慌てて頷く。 「う、うん・・・・・・かっこよかったです・・・・・・すごく・・・」 青年は機嫌よく 呵々と笑う。してやったりと笑う少年と、少々困り顔の少女は互いの顔を見合わせた。―――が、しかし。 「さて」 機嫌取りに成功したと思っていたガドゥはびくりとして身をすくめる。トアーラはごくりと唾を飲み込んだ。 「――帰る前にひとつ。俺、こういう真面目な話苦手なんだけど、一応お前らの先生だからな」 空気の変化に押し黙った弟子達に、アルファルドはため息をついて長い髪をかき上げた。 「今回はお前らの驕りが原因だな。・・・ガドゥ、俺は喧嘩するなとは言わん。ただ、自分から手を出す前に状況を確認して、判断しろ。――逃げるが勝ちって言うだろ? 逃げることも戦闘の一部だと認識するんだ」 ――まぁ、仲間を助けに行ったその判断は褒めてやると、青年は乱暴に少年の頭を撫でた。 「それから、トアーラ。言いたいことはガドゥと同じだ。 それと・・・・・・その短刀。これは前から言おうと思ってたんだが、 今回の一件が、彼女の持つ短刀が原因だったことを彼は知っている。彼女が鍛錬中も、決して短刀を武器として使用しないことも。それ故の忠告だった。 「いいえ・・・・・・いいえ、先生。これがあるから、わたしはがんばれるんです。離す気は、ありません」 思わぬ反発にアルファルドは片眉を跳ね上げる。しかしトアーラは真っ直ぐに彼の目を見つめ返した。 「わたしが・・・・・・何かで死んだりしたら、きっとこの短刀は奪われてしまう。だからわたしはこれを・・・守るために、強くなりたいんです」 今回の自分の浅はかな行為はとても反省している。けれど、それはこの短刀のせいではない。だから手放す気はない。 「それは、そんなに価値のあるもんなのか?」 守るものがあれば強くなれると、かつてトアーラに教えてくれた人がいる。 そんな彼女にアルファルドは目を細めて、すいと腕を伸ばした。 「そっか」 彼は、ぽんぽんと軽く叩くように彼女の頭を撫でて、ニッカと笑った。 「――なら、そのままでいい。そのまま強くなれ」 呆然と顔を上げたトアーラに、ただし手の傷が塞がるまで鍛錬は禁止と付け加える。 「じゃあ真面目な話はおしまい!」 アルファルドは明るく宣言した。そして俺ならやっぱこれだと、天誅とばかりにガドゥを捕らえてぐいぐい締め技を食らわせ始める。 (――― どうして、こんなにあたたかいのだろう・・・・・・) 腕の中にある短刀の重みと、耳朶に揺れる耳飾り。入隊当初の大切なものは、それだけだったはずなのに。
「――さてと。じゃあ帰りますか」 ここにいなければ、出逢えなかった人達がいる。 「お前なぁ・・・反省が足りん!お前の飯は俺が食う!」 トアーラは今無性に、過去に置いて来てしまった、ここに居ない人たちに何かを伝えたくなった。 (あのね・・・わたし、元気だよ・・・・・・大丈夫、わたし、今ね――) 耳朶の耳飾りが小さく揺れる。
「ぜったいやらねぇ!」 アルファルドとガドゥは振り返り、遅れている彼女の名を呼ぶ。
「・・・・・・はい!」
暮れ始めた空を背にする二つの影に、トアーラは小さく微笑んだ。
■ 登場人物:トアーラ / ガドゥ@シマムラさん / アルファルド@たまださん ■ ***後記***
■は・・・・・・初めてこんな長い文章を書きました・・・ここまでお付き合い下さった方、ありがとうございます。 ■これは第4夜、トアーラの衣装チェンジ前のお話になります。 ■のんびりペースにキャラバンライフを楽しませて頂いております。 PR COMMENTSCOMMENT FORM TRACKBACKSTRACKBACK URL |
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