揺処【caravan】【Falatoria Story】企画創作ネタ板 [PR]× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 白輝都譚 その2第4夜 『白輝の都』 塩の町にて その2
*** 2 ***
「こっちだ、トアーラ!」 路地に駆け込んだ瞬間、追ってきた男たちよりも早く一緒に路地に飛び込んできた少年の姿にトアーラは目を見開いた。 「ガドゥ・・・君・・・?!」 最近になって組み手仲間になった少年が、先導するようにトアーラの前を駆ける。 「俺たちであいつらのしてやろう!」 思わぬ味方の登場にほっとしたのも束の間、その台詞にぎょっして足が縺れそうになる。彼は逃げ道を知っているわけではないのかと愕然とする。 「てめぇら、ちょこまかしやがって・・・!」 もう逃がさねぇと、互いに息を切らしたゴロツキと相対する羽目になっていた。 「覚悟はできてんだろうなぁ?!」 袋の鼠になったはずなのに、隣に立つ少年は俄然やる気の臨戦態勢だ。 「トアーラ、これは正当防衛だって兄貴に会ったら言ってくれよ?!」 踏み込んできた男を二人してひらりとかわす。 ( ――先生の動きに比べれば・・・・・・遅い ) ひらひらと男の突きをかわしていた少年は隙を突いて身軽く飛び上がり、前方へ大きく身を乗り出した男の背に鮮やかな回し蹴りを食らわせる。 「ガッ」 顎の一撃で脳を揺さぶられた男は そのままよろめいて壁に激突する。 ギシリ、軋みを上げた拳の痛みに、トアーラは眉を寄せて歯を食い縛った。 「ぁ・・・っ」 三人目の存在を失念していた。 「・・・ッ!!」 首を羽交い絞めにされたまま、がむしゃらに腕を振り回す。 「てめっ、動くな・・・!」 許せない。汚い手でそれに触れるなと叫びたいのに、言葉にならない。 「かえして・・・!」 トアーラが鷲掴んだ刀身をそのままに、気を取り直した男はそれを振り上げようとする。
―――――――ピシャン
突然、何の前触れもなくトアーラの眼前に小さな水壁が浮かんだ。 「?!」 それは自分と同様、突然のことに驚愕する男の眼に、鋭い水の弾となって直撃する! 「ぎゃあぁぁ!」 絶叫を上げて男は短刀を手離した。 「トアーラ、大丈夫か?!」 駆け寄ってきた少年の背後に迫った影に、トアーラは声を荒げた。
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